「オンラインオリパ市場がバブル状態」「年間で数百億円規模が動いている」
ネットを見ていると、景気のいい言葉が飛び交っています。
でも、ちょっと気になりませんか?
「その『数百億円』って数字、誰がどこを調べて計算したの?」と。
実は、国や調査機関が発表している公式の統計資料の中に、「オンラインオリパの市場規模」という項目は存在しません。
じゃあ、世の中で言われている市場規模は全部デタラメなのか?
今回は、政府や業界団体が公開している「一次データ」をパズルのように組み合わせながら、オンラインオリパの本当の市場規模を論理的に逆算していきます。
推計を始める前に、一番大事な前提をハッキリさせておきます。
「市場規模」という言葉、人によって言っている意味がバラバラなんです。
例えば、以下のどれを「オリパ市場の売上」と定義するかで、数字は数倍〜数十倍跳ね上がります。
これを適当に足し合わせると、「ポイントを買って、ガチャを引いて、カードを当てて、ポイントに換えて、また引いて、最後に出たカードを売った」という一連の流れの中で、同じ1万円が何回も二重計上されてしまいます。
業界の経済的な実態を一番正しく表すのは、「年間でユーザーがオリパ事業者に実際に支払った現金の総額」です。ここを基準に考えていきます。
まず、大元のトレーディングカード市場の公式データを確認しましょう。
出典:日本玩具協会「2025年度玩具市場規模」公開情報(2026年8月30日取得)。
国内のトレーディングカード市場規模は、上代ベースで3,384億円。市場成長率は前年比+11.9%。
(※注意:この3,384億円はメーカーの正規パック等の新品出荷額ベースであり、オンラインオリパや中古シングル売買の市場は含まれていません)
「トレカ市場が3,300億円超えだから、オリパはその1割で300億円くらいか?」と単純に考える人がいますが、それはちょっと違います。
オリパで扱われているのは、新品パックではなく「すでに市場に流通している中古シングルカード」や「数年前の絶版高額カード」です。
新品の出荷額統計にはオリパの数字が1円も含まれていない以上、3,384億円という数字は「トレカに興味がある人の母数が日本全体でめちゃくちゃデカい」という背景を示す材料として見るのが正しいです。
公式の統計がない以上、私たちが使えるのは「一般に公開されている客観的なデータ」だけです。
| 公開されている客観指標 | 推計の材料として使えるポイント | そのまま使えない注意点・落とし穴 |
|---|---|---|
| 日本玩具協会のトレカ市場(3,384億円) | 国内のトレカ全体の熱気と市場規模の天井感 | 新品の正規流通のみで、オリパは一切含まれていない |
| App Storeのアプリレビュー件数 | アプリ版の利用者の広がりや接触人数の目安 | Web版ユーザーや無課金勢が混ざり、実際の課金者数ではない |
| 官報に掲載された決算公告 | 大手運営会社の純利益や財務体力のリアルな数字 | 会社全体の利益であり、オリパ単体の売上や原価は不明 |
| 各サイトの販売中ガチャ台数 | サービスごとの商品供給量やアクティブな勢い | 1台ごとの総口数や売れ行きスピードが全く異なる |
| ガチャの提供割合と排出履歴 | 1日の販売ペースや完売までの時間推移 | リアルタイムで追える台が一部に限られている |
| 獲得カードのポイント交換比率 | ユーザーのポイント循環率や実質的な原価構造 | 現金の売上高とはイコールにならない |
| SNS(X等)の当選報告・口コミ | 話題性や新規ユーザーの流入トレンド | 投稿する人の偏りやサクラ・重複アカウントがある |
これらのデータを組み合わせて、現実的な計算式を作っていきます。
オリくじの今日のラインナップを見る提供割合を公開している店/登録は無料主要なオリパサービスのApp Storeレビュー数(2026年8月時点の公開データ)を比較してみましょう。
| アプリ名 | 運営企業 | iOSレビュー件数 | 公開評価(星5満点) |
|---|---|---|---|
| DOPA! | 株式会社イーフォーシー | 35,598件 | 4.41 |
| 日本トレカセンター | 株式会社日本トレカセンター | 26,847件 | 4.54 |
| オリパワン | 合同会社ONE | 10,446件 | 4.43 |
| オリくじ | 合同会社オリくじ | 6,734件 | 4.57 |
| エクストレカ | 株式会社RECOTRADING | 3,216件 | 4.37 |
| clove | 株式会社トラストハブ | 1,625件 | 4.40 |
| くじ鶏 | 株式会社くじ鶏 | 104件 | 3.62 |
出典:App Store各社公開ページ(2026年8月30日取得)。
上位2社(DOPA!、日本トレカセンター)のレビュー数が圧倒的です。
一般的に、アプリを使ってレビューまで書くユーザーは全体の数%〜10%程度と言われています。
ここから逆算すると、主要アプリをダウンロードして一度でも触ったことがある人の数は、累計で数十万人〜百万人規模に達していることが分かります。
ただし、Webブラウザ版だけで遊んでいるヘビーユーザーも大勢いますし、逆に無料の新規登録ポイントだけ引いてアンインストールした無課金ユーザーもレビュー数には含まれています。
だから「レビュー数=課金ユーザー数」と単純計算することはできません。
市場規模を論理的に推計するには、3つの異なるアプローチがあります。
市場規模 = 月間のアクティブ課金者数 × 1人あたりの月間平均課金額 × 12ヶ月
市場規模 = 主要事業者の年間オリパ売上合計 + 中小事業者の売上合計
市場規模 = 販売されている各オリパの1口価格 × 1年間に完売した総口数
ここで一番の壁になるのが、「1人あたりの平均課金額」や「事業者の正確な年間売上高」が公式に開示されていないことです。
例えば、大手である日本トレカセンターの決算データを見てみます。
出典:日本トレカセンターの2025年11月期官報決算公告(2026年8月30日取得)。当期純利益は23.6億円。
一般的に、ネット系物販・ガチャサービスの純利益率が10〜20%程度だと仮定すると、この1社だけでも年間売上高は100億〜200億円規模に達している可能性があります。
もちろん、利益率がもっと高ければ売上は小さくなりますし、逆に広告費を死ぬほど使っていれば売上はもっと巨大になります。
業界全体を見渡せば、DOPA!などの巨大手から、中堅、そして個人・小規模が乱立するWebオリパサイトまで含めると、年間の市場規模(ユーザーの現金入金総額)は数百億円規模に達していると推測するのが極めて自然です。
市場規模を推計するときに一番やってはいけないのは、「市場規模はズバリ〇〇億円です!」と1円単位で断定することです。
入力するデータ(アクティブ課金者数や利益率)が推測値である以上、出てくる答えも一定の「幅(レンジ)」を持たせるのが誠実な分析というものです。
もしネットの記事や動画で「オリパ市場は〇〇億円で確定!」と言っているのを見かけたら、
この3つを厳しくチェックしてください。
公開データから読み取れる確実な事実は、「本家トレカ市場3,384億円の急成長を燃料にして、オンラインオリパという巨大な経済圏がネット上に確実に成立している」ということです。
※免責事項:本記事は公的機関および各社が公開しているデータに基づき、市場規模の推計手法を論理的に考察したものです。市場の確定的な金額や将来の成長、個別企業の売上を保証するものではありません。
この記事の内容を踏まえて事業者を比べるなら、提供割合・排出履歴・交換ポイントの公開状況と、 第三者計測による還元率を先に見てください。 自分の予算で何が起きるかは高額カードの相場とシミュレーターで試算できます。